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教授コラム

教授コラム Vol.24「外科診療センター長、総合外科学講座主任教授を拝命して」

4月2日

まずは伊部先生、木暮先生、原先生、斉藤先生、後村先生、大竹君、そして星野君、須賀君、村主君、内田君、ようこそ群馬大学総合外科学講座、外科診療センターへ参加していただきました。

この講座、外科診療センターは桑野博行先生が御退官され、新たなステージに入ったと考えております。いままで、これまで参加していただいた先生方のご努力でこの総合外科学講座、外科診療センターは大きく発展してきたと感じています。ただただその歩みはまだまだしっかりしたものではなく、これからの臨床・教育・研究における発展はまさにこの中の皆さんお一人お一人の成長にかかっております。私は皆さんがそれぞれの課題に前向きに取り組み、成長できるようにあらゆる場面で支援していきます。このことが私の最大の責任であり、このことに関しては努力を惜しまない、みなさんに全面的に協力したいと考えております。私の責務はこの組織の進むべき方向を示すこと、そしてみなさんの成長の手助けをし、結果としてこの組織がみなさん自身にとって誇ることができるものにすることであると思います。そして、はっきりしていることはこの組織の成長は先生方お一人お一人の成長にかかっているということです。

すべての組織にはミッションがあり、目的があり、存在理由があります。それは外科医療を通して社会に貢献することです。臨床科として、大学の講座としてできるわれわれの社会への貢献は臨床、教育、研究でそれぞれの領域で成果を上げることです。

まず、臨床では外科医としての基本を大切にすることだと思います。外科医にとって大切なことは、病める患者さんに対して持てる知識と手術を中心とした技術すべてを持って、最善の治療を目指して考え続けること、最善と思われる医療を全身全霊で実践することであります。そして外科医は手術という究極の治療法を持っているわけですが、だからこそ謙虚であるべきと思います。上からの目線ではなく、患者さんに誠実に奉仕することが大切です。そのような中で外科医として忘れられない患者さんを経験することになります。そのような経験を自分なりに咀嚼し、発せられたメッセージとして受け止め、何人分記憶し、改善していくことが外科医の力に繋がります。

そして真剣な取り組みによって初めて私たちは信頼をえることができるのだと思います。その信頼を構築する相手は、患者さんやその家族のみならず、すべての医師以外のメディカルスタッフであり、他の医療チームであり、あるいは紹介医であり、私どもが関わる全ての人だと思います。

われわれは医療安全に積極的に取り組むことが求められております。なぜなら、最善と考える医療を行ってもその結果は望む結果とならないことはしばしば経験されることです。すべてにおいてきちんとステップを踏み、独りよがりにならないこと、その過程を記録に克明に残し、透明性に努めること、その結果、困った時にすべての方々の協力がえられるようにすること、患者さんや家族に対して十分に説明に努めること、さらにみんなで討議する機会を持ち、反省や気づきの場を設けることが重要です。責任をもつ者への報告を怠らないこともその後の対応の上で極めて大切です。チームの中の連携、他のメディカルスタッフとの連携は重要なキーワードです。その前提としては相手に敬意を払うこと、これが大切です。

教育に関しては卒前、卒後、大学院、そして後輩への教育に積極的に取り組んでいただきたい。臨床、研究は数字に表れやすく、教育はなかなか数字には表れないものです。しかしながら、皆さんすでに感じておられるように例えば学生さんは柔軟で正直です。たぶんみなさんが一生懸命に取り組んでいただいていることで、学生さんは反応していると思います。今外科では大変実習も好評で選択実習も多くの学生さんが選択してくれるものと思います。引き続き外科の楽しさを伝えることができますよう、丁寧な教育を今後もよろしくお願いいたします。先生方の何気ない一言で学生さんが外科に興味を持ったり、将来を決めることがあると思います。その逆もあると思います。ヒトの一生を決める、教育はそれだけ大きな力を持っています。是非、それぞれが後輩のみなさんのよきモデルになっていただくよう努力をしていただきたいと思います。

研究に関しては臨床研究、基礎研究様々取り組みがあると思います。基礎から臨床へ、臨床から基礎へ縦横無尽に創造力を発揮していただきたい。最終的に患者さんの明日の医療に結び付くような研究に取り組んでいただきたいと思います。いまの医療では救えない患者さんがたくさんいます。その人たちの思いに応え、夢をかなえることが研究だと思っています。そして、必ず形に残していくことで初めて評価されます。

臨床は今日の課題に対する取組とすれば、教育・研究は明日へ繋がる課題への取り組みです。みなさん、それぞれ得意分野があり、強み弱みはあると思います。強みは大いに発揮していただきたい。ただ、弱いところも克服できるように積極的に、すべてに前向きに取り組むことで、大きな成長が待っていると信じております。そしてそのことは群馬の外科医療の未来に大きな貢献となることを信じて疑いません。

心をひとつにしてがんばっていきましょう。