安全な肝切除の実践
私共は肝切除を安全に行うために
- 肝臓の機能評価を行い、手術の可否を決定し、肝機能に基づいた手術法を採用すること
- 肝臓の解剖に基づいた手術計画をたてること
- 最新の手術器具を用いて丁寧で丹念な切除を行うこと
- 万全な出血対策を行い、出血量を減らすこと
を行っています。
特に肝臓は豊富な血管網を有しており、血流の多い臓器ですから、切除の際出血が懸念されます。肝切除中の大量出血は重篤な術後合併症の原因となります。われわれの努力により、現在平均出血量は400mlをきっています(下図)。この400mlは一回の献血で採血される量であり、もともと貧血がなければ輸血はまず必要はありません。したがって、肝切除にともなう平均出血量が400ml以下の施設は高い技術をもった施設と一般的に考えられます。当科では他臓器の合併切除を行わざるをえなかった症例や巨大な腫瘍に対する手術では出血量が増える傾向はありますが全体として平均の出血量は400mlをきっています。
結果として術後死亡症例はなく、合併症の重篤さを反映すると考えられるClavein-Dindo分類のIIIa(局所麻酔を要する処置を行った症例)3例(6%)で、IIIb(全身麻酔を必要とする処置を行った症例)以上の合併症例はありませんでした。