当科についてAbout

臨床実績

当科の臨床実績の特徴

安全な肝切除の実践

私共は肝切除を安全に行うために

  • 肝臓の機能評価を行い、手術の可否を決定し、肝機能に基づいた手術法を採用すること
  • 肝臓の解剖に基づいた手術計画をたてること
  • 最新の手術器具を用いて丁寧で丹念な切除を行うこと
  • 万全な出血対策を行い、出血量を減らすこと

を行っています。

特に肝臓は豊富な血管網を有しており、血流の多い臓器ですから、切除の際出血が懸念されます。肝切除中の大量出血は重篤な術後合併症の原因となります。われわれの努力により、現在平均出血量は400mlをきっています(下図)。この400mlは一回の献血で採血される量であり、もともと貧血がなければ輸血はまず必要はありません。したがって、肝切除にともなう平均出血量が400ml以下の施設は高い技術をもった施設と一般的に考えられます。当科では他臓器の合併切除を行わざるをえなかった症例や巨大な腫瘍に対する手術では出血量が増える傾向はありますが全体として平均の出血量は400mlをきっています。
結果として術後死亡症例はなく、合併症の重篤さを反映すると考えられるClavein-Dindo分類のIIIa(局所麻酔を要する処置を行った症例)3例(6%)で、IIIb(全身麻酔を必要とする処置を行った症例)以上の合併症例はありませんでした。

肝切除における出血量
肝切除のおける出血量 表

安全な膵切除

膵臓の切除は膵頭十二指腸切除17例、膵体尾部切除が6例に行われました。膵臓の手術の術後の膵液漏は最も重篤になりうる合併症です。
膵液は膵臓がつくる主に蛋白質を溶かす消化液ですが、膵臓の離断面からこれが大量に漏れ、感染を伴うと動脈性の出血を引き起こし、命に関わる合併症となりえます。当科では、最新の再建法を導入することで、現在のところ、重篤な膵液漏は1例も認めておりません。
膵臓の手術の術後ではClavein-Dindo分類のIIIa(局所麻酔を要する処置を行った症例)以上の合併症例はありませんでした。

群馬大学肝胆膵外科学 手術の内訳
(平成27年11月1日~平成28年7月5日)

【総手術数 110件】
群馬大学肝胆膵外科学 手術の内訳 グラフ

日本肝胆膵外科学会高難度手術の内訳
(平成27年11月1日~平成28年7月5日)

肝葉切除 15例
内訳 巨大腫瘍前方アプローチ 1例
肝外胆管切除、再建 3例
下大静脈合併切除 1例
肝動脈、門脈、胆管合併切除 1例
区域切除 3例
亜全胃温存膵頭十二指腸切除 18例
内訳 合併肝切除 1例
膵体尾部切除 6例
内訳 横行結腸、左副腎・腎、脾臓合併切除 1例
腹腔動脈幹合併切除(DP-CAR) 1例
膵胆管合流異常に対する分流手術 2例

肝胆膵外科腹腔鏡下手術の内訳
(平成27年11月1日~平成28年7月5日)

肝切除 8例
内訳 部分切除 6例
外側区域切除 2例
膵体尾部切除 1例
脾臓摘出術 1例
胆嚢摘出術 16例