第5回次世代の臨床外科医のための特別セミナー 参加報告
このたび、1月28日、29日の2日間にわたり、東京品川のグランドプリンスホテル新高輪にて開催された、第5回次世代の臨床外科医のための特別セミナーに参加して参りました。各道府県から2、3名ずつの参加があり、同世代での交流を深めつつ、大変学びの多く有意義な2日間となりました。今回参加の機会を与えて頂きました、臨床外科学会群馬県支部長の桜井芳樹先生、群馬大学大学院病態総合外科学教授の桑野博行先生にはこの場をお借りして御礼申し上げます。貴重な参加の機会を頂まして、誠にありがとうございました。
セミナーは、実践的な手術手技のポイントの解説から、外科臨床の最新の知見、そして若手外科医にむけた熱いメッセージなど、大変豊富な内容でした。1日目は埼玉県立小児医療センター岩中督先生より、「NCDの実際と臨床への還元」、東京海上日動MSの山本貴章先生より、「今改めて考える医療安全~事例で学ぶリスクマネジメント~」の2つのご講演がありました。また、このセミナーの恒例となっている手術手技のビデオセッションでは、「内視鏡下手術の免許皆伝への道」と題して、ヘルニア・胆嚢・大腸・呼吸器の4領域のビデオ供覧と解説がありました。同世代の先生方のビデオを見て刺激を受けるとともに、具体的なアドバイスをお聞きしてすぐにでも役に立つ実践的な知識を得られ、今後専門医を目指す上での大きな参考となりました。
2日目は「私が理想とする外科医」と題し、奈良県総合医療センターの上田裕一先生、美希病院の森谷冝皓先生、ハーバード大学外科の河合達郎先生よりご講演をいただきました。またランチョンセミナーでは、岐阜大学外科の吉田和弘先生より「外科医が知っておくべき、癌治療における最近の分子標的薬・免疫剤の進歩」についてご講演頂きました。ご講演頂いた先生方の言葉一つひとつに、これまでのご経験とご苦労に裏打ちされた重みがあり、心をゆさぶられる内容でした。「生きるために医師になるのではない。この人生を立派に生きるために医師になるのである。」上田先生からは、澤瀉久敬先生の著書「医の倫理」から、大切な一節を教えて頂きました。組織においては一人ひとりの構成員の質が重要であり、人が組織をつくっていく。外科医として、手術はできて当たり前。研究により革新的な治療を開発することが理想である。そして、ひとつのテーマを追い続けることで、時の試練に耐えうる研究を続けていくこと、外科医としてのメリットを活かし、絶えず臨床応用を意識した研究を行うことが大切である。そうした数々のメッセージを受け、外科医としての心構えや、今の時期に何を考え何をすべきか、そして今後外科医としてどう過ごすかについて、同世代の先生方とともに深く考える機会となりました。
今回のセミナーで得たものを今後の臨床、研究に活かし、「次世代」にむけて今後もさらに努力を続けていきたいと思います。
塚越 真梨子