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教授コラム

教授コラム Vol.2「S4a+5切除について」

みなさん、昨日はお疲れ様でした。
昨日は、はからずもS4a+S5肝切除の典型となりました。

この手術は胆嚢癌の定型的手術としてできるようになっておいたほうがよいので、私なりのこの手術のポイントについてまとめてみました。

S4a+S5手術のポイント

  • まず、肝円索から左側で、ためらわずグリソンを露出していきます。ここのポイントはS4aを確実に結紮切離することです。意外にS4bのグリソン枝は近い、あるいはほぼ同じ部位からでていることもあるので要注意です。エコーで確認していても切離する前に確認の意味でブルドックなどでdemarcationを確認するぐらいの慎重さがあってもいいです。(恥をしのんでお話すれば若いころ、誤って切離した経験があります。)
  • ここでdemarcationが確認できたら、demarcationに沿って肝の実質切離をエコーで想定される中肝静脈の手前まで右へ進めておきます。それから左の一次分枝から一部右のグリソンをCUSAで露出していきます。ここにはたいした枝はありません。これによって右の前区域枝の走行のイメージをつかんでおきます。
  • ついでさらに頭側の肝実質切離をすすめていくと中肝静脈にあたります。このレベルの中肝静脈は複数本あることが通常です。これをこえると当然ながら右葉の領域に入りますので、前区域のグリソンに注意を払う必要があります。足側の前区域のグリソンの露出も巣進めていきます。ここでS5グリソンの本幹を見極める必要があります。足側の前区域のグリソンの露出を確実に進め、前区域グリソンの走行のイメージを把握しておけばS5の見極めが容易になります。通常、S5のグリソンは複数本ありますので太いものは2重結紮つしたほうがいいでしょう。(ここで右前区域グリソンを露出する形でないとS5のグリソンが確定できないため、肝実質切離のラインに自信が持てず、必要以上に時間がかかったり、出血量を稼がれることになります。)
  • 最後は右側の肝実質を切離すれば完了です。結果として、左グリソンと右の前区域のグリソンが肝切離面に露出される形になります。
    基本的にはいかにS4aとS5のグリソンを肝実質切離するなかで確実に処理するかがポイントです。